2015/11/14
アルフレッド シスレー展
東京、練馬区立美術館で開催したシスレー展。
残念ながら展覧会会期は明日で終わってしまいますが、
個人的にはとても興味深い展覧会でしたのでご報告です。
えっ、シスレーの何が? と思われる方も多いと思います。
そう、シスレーの絵は変わらず
清々しい風と温かい日差しに包まれた印象派らしい作品でした。
が、展覧会の中でパリの治水関連の資料が
たくさん展示されていたのです。
ご存知シスレーの「ポール・マルリーの洪水」でも
知られるように、印象派の当時セーヌ河はしばしば氾濫し、
パリも何度も水浸しになっていたそうです。
そこでその頃大規模な治水工事が施され、ようやくセーヌ河が
穏やかな水面を取り戻したということでした。
それによって印象派は、川面に映る景色を描けたり、
モネのように川に舟を浮かべて描いたりが
できるようになったということ。
アートは時代と共に生きるという原点が
ここにも見られるのだと納得の展示でした。
印象派誕生には時代の空気が様々に関係しています。
鉄道網がセーヌ河畔に沿って伸びたこと。
チューブ絵の具ができたこと。などが語られてきましたが、
治水工事が進んで穏やかな水面が手に入ったことも
若き画家たちにとっては重要な要素だったんですね。
印象派が時代の変わり目を敏感に感じ、描いていた
証をまたひとつ見つけた気がしました。。
結城昌子