2013/11/17
「日本美術の技」の旅
雑誌サライの連載「日本美術の技」も二年目に入りました。
月刊誌の連載は、朝日小学生新聞の連載のように週一で巡っているわけでは
ありませんが、一ヶ月ってあっという間です。
この秋は、奈良、會津、東京、茨城と足をのばしました。
奈良は墨の都でもあり、古くからの伝統が今もきっちり継承されて
います。その伝統に「よい墨になるか否かはニカワしだい」という
墨運堂・松井会長の研究が加わって、奈良の墨は新しい局面を
迎えているようです。
「結城さん、墨を使った作品作りにもぜひ挑戦してください」との
言葉をいただいて、墨と筆を使った日本風な絵本作りへと
背中を押された気分です。いつか挑戦してみたいですね。
それにしても今も油を燃やした煤から、それを集め練り上げ墨をつくっている
人々がいることに、感銘と刺激を受けた取材になりました。
(宮地工 撮影)
結城昌子
コメント
メイプルさま
サライ読んでくれているんですね。嬉しいです。
取材に行くまで、墨の善し悪しは膠だったなんて知りませんでした。
最近気がついたのですが、日本の「接着剤」は、膠と漆とふのりだったんですね。
それが金箔や貝をくっつけたり、岩絵の具をくっつけたり…。
テンペラや油絵の具とはそこが違うんだなと思います。
昔の知恵には本当に感動しますね。
サライの「日本美術の技」連載は、今月で第16回になるのですね。奈良の墨運堂さんの墨の造り方は、採煙、膠の溶解、混和、型入れ、乾燥と続き、それらのどの段階でも「技」が生かされているのに驚愕しています。会津の蒔絵が施された漆器も、結城さんが指摘するように琳派の代名詞のような金地を彷彿とさせるような色遣いが、器の質感とともに『ハレの美』となるのでしょう。
今後も「日本美術の技」、楽しみにしています。