2012/08/17
サライで連載します「日本美術の技」
今月号から小学館の雑誌「サライ」で連載を始めました。
日本美術の技 という連載です。第一回は「表具」。
日本美術は欧米の芸術家のように個人の名前や主張を前面に出すことなく、
協力し合った職人技があってこそ、と感じてきました。
もちろん作家それぞれの力もありますが、
実はそれを下支えする職人の技によってより堅牢に、豪華に、美しく、
完成度を上げていると思うのです。
作品は、時代の気分だったり、ちょうど手に入れた道具だったりに
触発されることも多いと思うのです。
よしずの掛け軸のなかで風に揺れるとぼけた金魚。
神坂雪佳の「金魚玉図」がもし額装だったら・・・、
風情が違っていたかもしれませんよね。
そんなことを考えながら、
今回は長野県、上田市にある「清蘭堂」さんを訪ねて
表具について教えていただきました。
良かったら店頭でみてください。
ちなみに次回は京都、嵯峨野に青貝による「螺鈿」を訪ねます。
結城昌子
コメント
メイプルさま
神坂雪佳『金魚玉図』はとぼけた表情の金魚がたまらなく可愛い作品なので、
画集だとどうしてもアップになってしまうんです。
軸だと気づいたのは私も最近のことです。
例えば、上村松園の「序の舞」は額装なんですが、
これが軸だったら、あの凜とした感じは出なかったかも・・・なんて思います。
ちなみに『焔』は軸(だったと思います)。
あの妖しさは風をはらんでいる方が迫力出ますよね。
そんなしつらえの違いが、私はたまらなく気になってしまうんです。(笑)
M.Iさま
早速読んでいただき嬉しいです。
上手く言えませんが、昨年の震災以来、どんどん
日本という国が好きになっていく自分に気づきました。
で、どんなところが好きかな? って考えたとき、
声高に主張する西洋の美術に比べ(これはこれで大好きですが)、
人知れず黙々と職人技を伝承している方々の存在が愛おしくなってきました。
それこそ日本の素敵なところじゃない? って。
とはいえ詳しいわけでもないので、サライの応援を得て、
聞きたい、見たい、の思いをかなえられれば・・・と
ちょっとだけ、欲張ってしまいました。(笑)
次回は「螺鈿」です。
よかったらまた見てください。
結城さんのイメージから「表具」という脇役を取り上げるというのは意外な感じでした。
しかし、記事を読んでみると日本の美術には海外にない繊細で深いものが潜んでいる事がわかりました。美術を愛する日本人としては是非とも知っておきたい内容だと感じました。
「サライ」の「日本美術の技 表具」を読ませていただきました。
神坂雪佳『金魚玉図』は初めて目にする作品ですが、結城さんの文にあるように、これが額に入っていたら、全く違う感じを受けることでしょう。
日本美術の奥の深さに触れることが出来たよううな気がします。今後の連載が楽しみになってきました。